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毎月1日は映画ツイートデー  サマシネ2015

2001年、出版界を揺るがすひとつの小説が誕生した。“全国の佐藤さん”が鬼に殺されるという、斬新でインパクトの強い設定で、中高生を中心に爆発的なブームを巻き起こし、発行部数200万部を突破する大ベストセラーとなり、中高生のバイブルとなった「リアル鬼ごっこ」だ。
10代の若者の心を掴み、いまや伝説となったこの小説は、時代を超えてなお、彼らを熱狂させ続け、原作者の山田悠介は、全国学校図書館協議会などが2012年に実施した「学校読書調査」の中高生が選ぶ「一番好きな作家」で2位以下に大差をつけて断トツの1位に輝いた。
2008年に映画化され大ヒットを記録したのを皮切りに、2010年に『リアル鬼ごっこ2』が、2012年には『リアル鬼ごっこ3』、『リアル鬼ごっこ4』、『リアル鬼ごっこ5』が3部作として連続公開された。さらに2013年には「リアル鬼ごっこTHE ORIGIN」のタイトルで連続テレビドラマが放送されるなど、出版から10年以上が経った今も新たなメディアミックスが展開され続けており、世代を超えた中高生のバイブルとなっている。

2015年、伝説は更なる進化を遂げ、まったく新しい映画として生まれ変わる。今回、メガホンを握るのは、2009年『愛のむきだし』でのベルリン国際映画祭フォーラム部門 カリガリ賞・国際批評家連盟賞受賞をはじめ、多くの監督作品で国際映画祭の映画賞を受賞し、世界中から圧倒的な高評価と支持を得る映画監督、天才・園子温。その創作意欲はとどまることを知らず、近年も『地獄でなぜ悪い』(13)、『ラブ&ピース』(15)といったオリジナル作品から、『TOKYO TRIBE』(14)、『新宿スワン』(15)といった漫画原作まで、ジャンルも内容も多岐に渡る映画を発表し続け、日本映画界を大胆に牽引している。そんな園監督が次に選んだのが、「リアル鬼ごっこ」だ。何かが何かに追われる、という設定だけを活かし、完全なオリジナル脚本で挑む。作品を発表するたびに、世間を驚かせ続ける天才監督が、まったく新しい『リアル鬼ごっこ』の世界を作り出す。

園子温の新たな『リアル鬼ごっこ』では、“全国の佐藤さん”が追われるという原作の設定を大胆に変更。本作の標的は、「全国のJK=女子高生」だ。正体不明の何者かに追われる全国のJKたち。誰がJKを追うのか? そしてなぜJKが追われるのか? 捕まったら、死。恐怖の鬼ごっこがはじまる! このシンプルかつ斬新な設定を、圧倒的な映像で見せ切る85分間。ノンストップの鬼ごっこアクションが繰り広げられる。

今回、鬼に狙われるJK=女子高生を演じるのは3人の主演女優。女子高生・ミツコ役に、雑誌のカヴァーモデル、数々のCM出演と多方面で活躍しながら、女優としての実力も注目されるトリンドル玲奈。ケイコ役に、国民的アイドルグループAKB48で圧倒的な人気を博し、モデル・タレントに加え女優としてテレビドラマ・舞台と活躍の場を広げ続けている篠田麻里子。いづみ役に、ハロー!プロジェクト卒業後、テレビドラマ・映画への出演で女優としてのキャリアを積みながら、映画『THE NEXT GENERATION-パトレイバー-』(14)では主演に抜擢された真野恵里菜。このトリプルヒロインたちが、園監督が「本作で彼女たちのイメージは破壊される」と語る通りの体当たり演技で、見たことのない魅力を放つ!
そして、ある日理不尽に始まったこの物語は、その他の出演者も含め全員女子である。最近の園子温作品で個性を発揮する桜井ユキをはじめ、平岡亜紀、冨手麻妙、サイボーグかおり、IZUMIや、そのほか、高橋メアリージュン、磯山さやかといったバラエティに富んだ総勢37名の女優が登場。日本映画はおろか世界でも類を見ないセンセーショナルな独創性を放つ【オール女子キャスト】、その美しさと危うさが、感覚を惑わし、スクリーンから雪崩のように観る者へと向かってくる。果たして、彼女たちJKが逃げた先に【答え】はあるのか?

自費出版という形で2001年に初版刊行された山田悠介氏の「リアル鬼ごっこ」は、瞬く間に子供たちの間に広まり、インターネット黎明期ということもあり様々な層に拡散されていった。2008年に映画化が決定した際は、初版当時の読者は大人になっていたが、宣伝が広まると新たな中高生たちが飛びつき、再びブームを引き起こした。2010年には続編映画が公開され、以降もシリーズ化やテレビドラマ化されるたび、中高生だけでなく小学生まで興味を持ち、大学生や社会人になったかつてのファンも取り込んで増殖してきたのである。

この人気の理由はやはり、ネタになる、ということが大きい。タイトルのインパクトと、捕まったら殺される鬼ごっこというコンセプトのキャッチーさ。このふたつが要するに子供たちを中心に「ウケ」て、彼らの会話、話題にどんどん入り込んでいくのだ。

誰もが知っている鬼ごっこという遊びにリアルがくっつくと、ギャグのようなシュールな響きと共に、一体どんな鬼ごっこなのだろうという興味を喚起し、絶対に忘れられないコトバになる。リアルというからには、捕まると殺されてしまうのだろうと想像させ、そうなったが最後、読まずに、あるいは観ずにはいられなくさせてしまう。

鬼ごっこには、シンプルに追いかける、逃げる、走るといった本能に根差した欲求と魅力があり、ただでさえ捕まるかもしれないというスリルがあるところに、捕まったら死が待ち受けているとなれば、想像するだけでワクワクさせる怖さとなる。この、実際にはあり得ないがゆえに想像上で楽しめる部分が「リアル鬼ごっこ」ヒットの根底にある。

原始的な遊びと対極にある「死」をくっつけた不条理さは、子供の頃から誰しも想像する「もしも」の面白さ。もしもいま教室で友達どうし殺しあわねばならなくなったら、という面白さで大ヒットした『バトル・ロワイアル』と一緒である。これらはそれ以前にブームとなっていた『リング』などのいわゆるJホラーに飽きた子供たちにとって新鮮に映ったに違いない。この世ならざるものの恐怖に対し、現実的な権力や武装による暴力の方がより身近に怖さを感じるからだ。

山田作品の魅力はこの身近さという点にある。そこにありえない事象を合体させて等身大の恐怖としてアピールする。等身大であるほど、子供たちはそれを日常のネタに持ち込んで遊びたがるものだ。学校の休み時間になると「鬼ごっこしようぜ」ではなく「リアル鬼ごっこしようぜ」となる。そうなればもう「口裂け女」などの都市伝説が広まるのと同様、流行は全国に伝播していく。ネタになるということはイコール、ブレイクするということである。

また、ヒットの背景として、昨今のテレビや映画の制作事情も大きく関係している。残酷なものや背徳的なもの、毒のあるものはいつの世も子供たちの大好物であるが、近年の制作側がクレームを恐れてそうした作品づくりを自粛し、健全なものや少女マンガの実写化といった行儀のいいものばかりになったために、こうしたコンテンツへの欲求が加速したという側面もある。

今回の作品はこの「毒」が全開だ。想像上で楽しめるハードな怖さが満載され、次に何が起こるか予測不可能な面白さで、またネタにされ新たなファンを取り込んでいくことだろう。

【プロフィール】 1967年東京生まれ。1992年にパイオニアLDC(現NBCユニバーサル・エンターテイメント)入社後、営業職、宣伝職を経て制作職へ。ホラーやSFといったジャンルを得意とするプロデューサー兼監督。自らの企画をキングレコードに持ち込み、『もうひとりいる』(02)で映画監督としてデビュー。『渋谷怪談』(04)、『蝉しぐれ』(05)、『姑獲鳥の夏』(05)、『笑う大天使』(06)、『魍魎の匣』(07)、『携帯彼氏』(09・兼脚本)などをプロデュースする傍ら、山田悠介原作の『リアル鬼ごっこ』(08)を監督。続く『リアル鬼ごっこ2』(10)の監督はじめシリーズのプロデュースを行なう。また、コミック「戦国ゾンビ」(幻冬舎コミックス)の原案なども手掛けている。

200万部を超える原作から映画は5作品も作られ、そしてTVドラマと、あらゆるメディアを移り変わり、駆け抜けて行った「リアル鬼ごっこ」。その隆盛を極めたこのネタの延長線上に商売を考えて作る、というあらゆる意味において、最も失敗する路線には乗りたくなかった。よって本作の出立は、単なるリブート企画を否定することから始まりました。今までを完全に断ち切って、まったく新しい、オリジナルな“リアル鬼ごっこ”を作りたかった。だから園子温監督を招いた訳です。彼の思い描く「リアル“な”鬼ごっこ」、それはどんなイヴェントなのか? ラストで明かされるベストセラー小説「リアル鬼ごっこ」との奇妙な接点とは何か? もともとこのシリーズは、不条理な理由で鬼から“逃げる”物語。なので“走る”映像、切迫した速度がポイントとなります。ただ、カッコよく走る映像だけでは、観客は飽きてしまう。走るという感情……何を抱えて走らなくてはならないのか? という“感情が伴った走るシーン”を撮れる人、そしてなぜ走っているのか? という謎によって、観客の鼻っ先を最後まで引っ張り回せる監督というテーマで、園子温にアプローチしました。彼の映画は、つねに走ります。そこには理由があり、感情があり、物語があります。本作は全編“走り続ける”映画なので、彼の映画に毎回現れるような躍動するシーンが飛び出す事に期待しました。

観客の想像を裏切り、期待を上回る、それが映画だと思ってつねに製作していますが、園監督は撮影の時点から、毎日目の前でそれが起こっていました。 クライマックスの撮影では、この作品の根幹を成す、脚本にはなかった科白が誕生しました。 撮影現場で、その空間のトーンやリズムにインスパイアされ、まさにライヴで刺激を受けたことによって、監督の頭の中で“何か”がどんどん増長していく、それはそれは想像を遥かに超えるフレームや動き、映像が産れてくる瞬間でした。

本作は、登場人物「全員女性」。女性しか出てこない日本映画では初めての映画。『戦場のメリークリスマス』の逆です。登場する“架空の少女たち”と、今を生きる“現実の少女たち”が、ヴィヴィッドに重なり合い、未来か夢か目の前の現実か? 解らない、独特な世界を映し出します。演じるメインキャストの三人は、園作品らしからぬキャスティングでした。この映画の新しさであり面白さだと思っています。元アイドルだったり、モデルだったり、これからまさしく“女優”に向かおうという次のステップに踏み込む瞬間に立っている、自身がある種の“興奮”を抱えているキャストをあえて選びました。女優への興奮が、ハードな現場と内容に炸裂しました。彼女たち自身も想像できなかった毎日の連続でした。

2015年3月、聞きしに勝る切れの良いアグレッシブな編集が行われ、4月、ダビングによって、より細かく大胆なショックとカタルシスが吹き込まれていきました。園子温の頭の中にはすべてができていたんだ、と実感しました。 “中高生たちが最も熱狂する作家・山田悠介”と書籍帯には書かれています。完成間近の本作は予定通り、そんな青少年少女たちが初めて見る“悪夢”になると確信しました。永遠にへばり付いて離れない魔法がかかるのです。 そして完成した作品は、年齢・性別を超え、創った側も見る側も、演じた側も、そんな悪夢のマジックに泥酔することになるものでした。登ったり下ったり、上がったり墜ちたりをアッという間の85分に体感します。その果てに、“きっと今この瞬間も、もう終わる”と痛感する、そのエモーションも含めて、今まで感じたことのない世界が目の前に拡がります。園監督自身が経験してきたこと、見ている風景やスピードが、普通とは違うという事も、よく解りました。 これは園子温だけが到達出来るマジック映画なのです。

4月23日、15時、初号試写を行い、映画は完成しました。ちなみに、この日付は、カワイイ可愛いシャーリー・テンプルちゃんの誕生日(1928年)。また「ウィンザーの陽気な女房たち」が初演された日(1597年)。可憐な女性たちの生活に水を差す老人フォルスタッフが登場し、事態を自分勝手にややこしく掻き回す……そんな悪党を懲らしめる女性たちの愛に満ちたシェイクスピア劇です。

【プロフィール】 1967年生まれ。『きまぐれロボット』(07)、『西の魔女が死んだ』(08)、アジア圏初のデジタル3D映画『戦慄迷宮3D』(09)、ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門正式出品作『鉄男 THE BULLET MAN』(09)、『ラビット・ホラー3D』(11)を製作。共同製作として『さくらん』(07)『ヘルタースケルター』(12)。最近では壇蜜初主演・連続TVドラマ「アラサーちゃん 無修正」(14)の企画、増田セバスチャン監督による極彩色ミュージカル・ファンタジー『くるみ割り人形』(14)や、白石和彌監督による配信ドラマ『女子の事件は大抵、トイレで起こるのだ。』(15)を製作。また本作と共に配信スリラードラマ『リアル鬼ごっこ ライジング』(大畑創、内藤瑛亮、朝倉加葉子監督/J:COMオンデマンドほかにて7月上旬配信開始)がある。著書に「3D世紀/驚異!立体映画の100年と映像新世紀」(ボーン・デジタル刊/共著)。

2001年、文芸社から刊行された山田悠介のデビュー作。時は30世紀。ある王国で、王様が前代未聞の通達を発した。「自分以外の者が<佐藤>を名乗ることを許さない。王国にいる500万人の<佐藤>姓の人々を“鬼ごっこ方式”で抹殺する。」と……。かくして死のゲームの準備が整えられ、狂気に満ちた日々が始まった!期間は7日間、夜11時から12時までの1時間を、主人公・佐藤翼は無事に逃げ切れるのか? そして、“死の鬼ごっこ”の途中で生き別れた妹を救うことはできるのか?斬新でインパクトの強い設定は、発売以来10代の若者の心を掴み、時代を超えてなお彼らを熱狂させ続け、作者の山田悠介は、2012年に全国学校図書館協議会などが実施した「学校読書調査」の中高生が選ぶ「一番好きな作家」で2位以下に大差をつけて断トツの1位、中高生のカリスマ小説家になっている。2008年には映画『リアル鬼ごっこ』が劇場公開され、公開当初の全国36館から最終的に100館以上に広がり、大ヒット作となった。2010年には『リアル鬼ごっこ2』が、2012年には『リアル鬼ごっこ3』、『リアル鬼ごっこ4』、『リアル鬼ごっこ5』が三部作として公開された。さらに2013年には「リアル鬼ごっこTHE ORIGIN」のタイトルで連続テレビドラマが放送されるなど、出版から10年以上が経った今も新たなメディアミックスが展開され続けている。

1981年生まれ。2001年に文芸社にて自費出版でスタートしたデビュー作「リアル鬼ごっこ」が発売直後から口コミで評判となり、200万部を超えるベストセラーとなる。続く「@ベイビーメール」「あそこの席」(ともに文芸社)のヒットにより、その地位を固める。その後も快調なペースで作品を発表。中高生男女をはじめ若い世代の絶大な支持を得ており、中高生が好きな作家第1位を獲得。主な作品に、「親指さがし」(03)、「Aコース」(04)、「パズル」(07)、「その時までサヨナラ」(08)、「アバター」(09)、「貴族と奴隷」(13)、「君がいる時はいつも雨」(14)など。